grins-logo

自転車TIPS

ロードバイク乗りのためのスルーアクスル講座

2015年09月13日 投稿者:いね

/

「スルーアクスル」

MTBではひろく普及していますが、ディスク対応ロード(主にシクロクロスなど)ではここ数年でにわかに対応車がリリースされ始めたばかりなので、聞いた事はあるがどんな物かまで理解している方は少ないんじゃないでしょうか。当初はスルーアクスルがどこまで普及するか懐疑的でしたが、ジャイアントやトレック、メリダなどのビッグメーカーのここ最近の積極的な動き、それからchris kingやENVEなどのパーツメーカーもその流れにのって(ロード向け)対応フォークハブをリリースするなど、いよいよ市場の動きが活発してきました。そんな流行の兆しが見えるスルーアクスルとは一体何者なのでしょうか?

スルーアクスルとは何者なのか?

スルーアクスル 中空構造
ロードバイクにのっている方ならクイックレバー(リリース)はご存じだと思います。ホイールを車体に固定するためのあれです。広義ではナット式やクイックレバー式といったように、ホイールを車体に保持するための機構そのものを指して言う場合もあります。スルーアクスルとはそのクイックレバーに変わる、ホイール固定機構のことで、基本的にはディスクブレーキとセットで使用されます。ちなみにホイールを固定する方法は大きく3つに分けられます。

・ナットタイプ→ママチャリなどのシティサイクル
・クイックレバータイプ→クロスやロード、MTBなど
・スルーアクスルタイプ→シクロクロス、MTB、ファットバイクなど

もともとMTBはロードと同じ9mmクイックが使われてましたが、それだとダウンヒル等のハードなライディングに使用する場合、剛性や強度がまったく足りなかったんですね。それで相応の負荷に耐えれるものが必要だということで、作られたのがスルーアクスルの始まりのようです。

スルーアクスルの構造


スルーアクスルとクイッククイックレバー(以下クイック)と比較しながら説明していきたいと思います。上がスルーアクスル(15mm)です。下のクイック(9mm)と比べるとかなり太く、中空構造になっています。当然強度はスルーアクスルの方が高いです。後で説明しますがポイントはナットが無く、シャフトの左の末端にねじ切りが仕込まれているということです。お次はハブです。ハブもスルーアクスルに対応している必要があります。

クイック対応ハブ スルーアクスル対応ハブ 上がクイック、下がスルーアクスル対応ハブです。ご覧の通り、穴の大きさが違います。一般的にクイックのシャフト径は9mmですが、スルーアクスルはフロント:15mm、リア:12mmが主流です。極限的な負荷がかかるダウンヒルユースのMTBは、20mm径が採用されています。またMTBの場合、前後ともスルーアクスル搭載しているのが普通ですが、ロードの場合、後ろはクイック、前だけスルーアクスルという前後相違モデルも多いです。お次にフォークを見てみましょう。


クイック対応ハブまずは、クイック対応フォークの場合、先端がコの字のように溝が切られています。この切れ目にハブシャフトをマウントします。その後クイックレバーを閉めて固定するのですが、要するに、ハブシャフトに乗っかったフォークをクイックレバーの横から締め付ける力で固定しているというわけです。ナット式も原理は同じです。


スルーアクスル対応フォーク対してスルーアクスルの場合切れ目が無く、まん丸です。この穴にシャフトを通すわけです。実際には、左下のようにフォークの穴とハブを直線上に並べた上でシャフトを差し込みます。さらに右下の写真にようにフォークの左穴にはねじ切りが施されています。スルーアクスルの場合、ナットがなく、このねじ切りに直接シャフトを固定するという構造になっています。つまり疑似的にフォークとシャフトを一体化させているわけです。クイックと仕組みがまったく違うことがお分かりいただけるでしょう。この仕組みが様々な恩恵をもたらしてくれるんです。ちなみにクイックレバーは、ハブやホイールを購入したときに付属品としてついてきますが、スルーアクスルはフォークの付属品です。これも大きな違いですね。

スルーアクスルのメリット

一番のメリットは剛性と強度の確保です。MTBユースなどそれなりの負荷がかかる状況で、クイックを使用した場合フロントによれが発生してステアリングに影響を与えてしまいますが、スルーアクスルは高いねじれ剛性をもってるためそのような状況には陥りにくい。この剛性感に関しては、ロードバイクしか乗ってない方はピンと来ないかもしれませんが、スルーアクスル搭載車でオフロードを走れば誰にでも分かるほど明らかな違いがあります。(擬音語で表現するなら)しゃきしゃき反応してくれる感じです。実際ロードバイクで、そこまで剛性が求められる状況があるかどうかは微妙なところですが・・・

もう一つはローターのクリアランス(隙間)調整が楽になるということ。ディスクブレーキの場合、ホイールマウントの際ローターがパッドにこすってしまうというのはよくあることですが、スルーアクスルは構造上、常に同じ位置にホイールを装着できるのでそのような煩わしさから解放されます。クリアランス調整は地味に面倒くさかったりするので、一回こいつを体験するとクイックには戻りたくないあ、などと思ってしまいます。

走行中に車輪は外れない、という安心感もスルーアクスルの強み。油圧ディスクを使用していてクイックがいつのまにか緩くなったという経験された方もいるかもしれませんが、スルーアクスルの場合そういうことはありません。ハブをシャフトに通してホールドさせているので、外れるということはあり得ないのです。

おわりに

こうやって見るとメリットだらけに見えますが、問題もあります。シャフト径がメーカー間でまだ統一されてないのです。クイックの場合9mmで統一されてますが、スルーアクスルは9mm、10mmや12mm、15mなど割とバラツキがあります。メーカーそれぞれの思惑があるのは分かるのですがBBのように各社独自路線をいって、規格が乱立するのだけは勘弁してほしいところです。消えていく規格に手を出して泣きみるのは消費者ですからね。最終的には12mm、15mmで落ち着いてくるとは思いますが。それでもデメリット以上の恩恵が受けられることは間違いありませんので、まだ採用してないメーカーでも今後シクロやエンデュランスロードなど徐々に搭載していく流れになるでしょう。ディスク対応ロードの購入を検討されている方はスルーアクスル対応なのかクイック対応なのかを判断材料に加えて選定すると、あとあと後悔しないで済むかもしれませんよ。


Copyright © GRINS. All Rights Reserved.

GRINSをフォローする。