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ぼくらの自転車

ケース2:「pen.」の主人、菊池さんの場合

2016年11月7日 投稿者:いね

ぼくらの自転車、第二回目は筆記具セレクトショップ「pen.」の菊池さんです。

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待ち合わせの時間まで少し余裕があったので、通り道の岩手公園で秋を踏む。秋空高く、澄み渡り、気温も上々、絶好の紅葉日和である。園内を歩く。サクサク、サクサク。小気味よくリズムをたてる枯れ葉の音に楽しくなって、ついつい無駄足を踏んでしまう。調子にのって、枯葉たちの最後この私めが弔ってあげまするぞゲームをしていたら、すぐに約束の時間。川徳方面に行きたかったので、西側の石垣に面した長い坂を下り、公園を出る。そして農林会館と教育会館の間の細い路地を100mほど進むと目的のお店見えてきた。

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青いポストと青い雨よけが目印の筆記具のセレクトショップ「pen.」。この中に今回の自転車人がおられる。お店の前にディスプレイされている辛子色の自転車をニンマリ眺めてからドアを開ける。

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小洒落た店内は、お世辞に広いとは言えないけど量感が適度に抑えられいて、且つ清潔感があるので窮屈な感じは全くない。むしろ店員さんとの距離が近く、接点を作りやすいという意味ではこれぐらいの方がちょうどいい。それはさておき、店内の一番目立つ位置に、私も購入を本気で迷っているペンが置いてある。

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「japen」(ジャペン)」
全国紙の産経新聞にも取り上げられた、岩手県二戸市浄法寺町の漆塗りを施した贅沢なボールペン。
「漆特有の品の良さと素朴さを実感してもらえるのは勿論、使えば使うほど味わい深くなるのがjapenの特長。Brooksのサドルと同じだよね。ホンモノ志向の人であれば絶対満足してくれると思う」
そう答えてくれたのは「pen.」の主人、菊池さん。そして、「Japen」の企画・販売の音頭取りをされたお方。そんな菊池さんは自転車好き。

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「自転車を購入したのは2011年だから、そこまで歴が長いわけじゃないですね。通勤の移動手段としてがメインの使い方。」
もう一つ、この自転車には大きな役割があるんだとか。
「お店の顔にもなってもらってるの。というのも、入ってくる時見かけたと思うけど店の前にディスプレイしているんだよね。自転車のクラシックな佇まいと店構えがマッチしているから雰囲気に奥行きが出るんだよ。」
加えてお客様との話の種になることが結構あるらしく、自転車には色々助けられてるそう。なるほど、ペン好きには自転車好きも多い、たしかに共通点がありそうですね。

キャセロールを駆る

菊池さんの愛車は今や廃盤となったサルサのキャセロール。標準でチェーンガードがついてたりシングルを採用していたりと、かなり個性的なマシン。色はビンテージ感を漂わすイエローゴールド。今現在廃盤になったことについても、被らないという意味ではむしろ大歓迎と言い切るあたり、器の大きさを感じてしまいます。

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実はフォークは2代目。純正のフォークを事故で潰してしまって、泣く泣く交換したものの今ではこのポリッシュ感が気にっているんだとか。
「SOMAのフォークに交換して思ったのが、この組み合わせって多分世界で自分だけだよなってこと。純正フォークもきらいじゃなかったけど、SOMAにしてむしろ個性が出て良かったと思ってる(思うことにしている)。もう目が慣れちゃったってのもあるかもしれないけど、今はコレ以外考えられないあ」とのことで、ナイトメアな事故を経て自転車とのキズナがさらに深まったご様子。傍から見ても全く違和感のない組み合わせですよね。泥除けやクランクのシルバーとうまい具に調和しています。

お気に入りはBROOKS

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サドルに目を向けると今や5年選手になったBrooksのB17スペシャルがデデンと鎮座。このサドルには一番愛着をもってるそうで、名前もつけてるとかつけてないとか。深みが出てきてて、いい塩梅に仕上がってます。5年経過しているとは思えないくらい状態もいいですね。。座り心地に関しては、最初はつらかったそうですが、今では「極上」の一言でした。

「Brooksのサドルにしろ、japenにしろ経年変化が楽しめるってのはモノを選ぶ上で大切にしている要素。愛着の度合いが違うし、その分に大切にもするしね。」
育てる感覚というのを大事しているという菊池さん。自転車のパーツにしろ、何にしろそういった観点から選ぶことが多いそうですよ。
結局サドルの名前は聞けずじまいでしたが、モノに名前をつけるあたり私と同じ感性をお持ちのようです。ちなみに私のサドルは「むぎちゃん」です(オイ

シングルスピード=機能美

キャセロールはシングルスピード。そこにも思い入れがあるみたいです。
「勝手な意見だけど、自転車本来の美しさというのは、裸に近い状態にこそ宿るものだと思う。余計な機能は省いてシンプルに進むという機能だけを持たせた状態。だからシングルスピードなの。」
さらっと言ってくれます。
「それから5年使ってトラブルらしいトラブルがないのもシングルの恩恵だよね。こいつを選択して正解だと胸張って言える。」
ギア無しつらくないすか?という質問には、たいそうな坂も無いし、そんなに長い距離走らないので通勤で使う分には全然問題ないとのこと。

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適度にトレンドも取り入れてます。コクピットには最近話題のあのベルが。
「見た瞬間に一目惚れ。音を聞いて二目惚れ。もう何度惚れたか分からない。」と興奮覚めやらぬ口調で語ってくれました。加えて、既存のベルの枠組みを解体して別の方法で再構築するデコンストラクション的な発想にも感心しておられました。今年一番のトピックにもなりそうな勢いでバカ売れしれているknogのoiベル。既に当店でも完売です。

良いモノにはストーリーがある

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泥除けはSimworksさんの亀甲フェンダー。規則正しく並んだ亀甲文様は吸い込まれるような美しさ。自転車のビンテージをいい感じにお膳立てしています。なぜこのフェンダーを選んだのか質問すると「一つは見た目が美しいから。もう一つは日本の匠を感じるから。日本人であれば、同じ日本人の手によって作られたモノに投資したいと思うのは健全な思考だよね。それが職人であれば尚更ね。」
このフェンダーは本所技研という東京の町工場で、職人によって一つ一つ丁寧に作られていますが、そういったストーリーも大切にしたいとのこと。素晴らしい感性です。
そういえば、「japen」も国産漆を使用して、熟練の塗師によって一本づつ丁寧に塗布されています。なんでも国内で使用されている漆の98%は海外製。さらに後継者不足など衰退しつつある漆文化に危機感を抱いたのがjapenプロジェクトの動機づけの一つになっているんだとか。そういう話を聞くとさらに食指が伸びてしまいますな。

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ペダルはエクスペドがインストール。少し知っている人だと、今の流れからだとそこは日本の三ヶ島(ミカシマ)だろ!とツッコミを入れたくなるのが心情だと思います。分かります。でもそこは菊池さん。斜め上を歩かれるお方。ここは敢えてハズシでエクスペドを入れたのだと。

「エクスペドで外すのも菊池さんらしいですね」
「え?ハズシ?」
「だって三ヶ島じゃないし」
「え?三ヶ島ってなに?」
「えっ?」
「えっ?」
そんな未来が見えたので、心の中にソッと閉まっておくことにしました。

ブラックベリー信者!?

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お店のカウンターにはこんな面白いものが陳列されておりました。根っからのBlackBerryユーザーらしく、菊池さん歴代の端末が並んでいます。「BlackBerryを手放す時は、自分が死んだ時」など格言も飛び出るほど。スマホに限らず、自分のアイデンティティーをしっかりお持ちでこだわるべき部分は絶対に妥協しないんだとか。菊池イズムとも言うべきそのこだわりは、店内の厳選された筆記具や「japen」にも勿論反映されています。

さいごに「japen」のご紹介

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油性と水性の2種類。
岩手県、二戸市浄法寺町産の漆を使用。落ち着いた艶と使っていくうちにじみ出る独特の味わい深さが特長の一生モノのボールペンです。衰退しつるある漆文化の一助になればと筆記具セレクトショップ「pen.」がタクトを振るい、トンボ鉛筆、㈱浄法寺漆産業や岩手県工業技術センターなどと連携して作られました。お話によると、トンボ鉛筆さんは社外と連携してモノを作るということが無く、japenの話を持ち込んだときも聞く耳を持ってくれなかったそう。自らプロトタイプを作ったり、何度もプレゼンしたりと道は険しかったそうですが、こうしてお客様に手にとって貰えるカタチにできたことが何よりも嬉しいとのことでした。
現在は県内に限らず、県外からも引き合いが多く生産が追いついてないんだとか。今、注文したら納期は春くらいになってしまうということです。

詳しい仕様は「pen.」のホームページを御覧ください。


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