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よみもの

(自転車で)パンをめぐる冒険 序章

2015年09月8日 投稿者:いね

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パン屋巡りをしようなんて思い付いたのが不思議でならない。通勤途中、自転車に乗っているときに前触れもなくハラハラと頭に降りてきたのだ。
私は特段パンが好きなわけではない。朝食はご飯3にパン1くらいの比率だし、おいしいパンを見極める舌だって持ち合わせてるわけじゃない。コンビニのパンだって普通においしいと思う。そんな話を母親にするとタバコ吸いすぎて舌がおかしくなってるんだわ!と一喝されてしまうのだけれど。
もしかしたら周りにパン好きが多いことが原因かもしれないと思った。どこどこのお店がおいしいとかハード系がいいだのといった類いの話はけっこう耳にするので、潜在的にパンの興味が高まっていたのかもしれない。ちなみにうちの店主もその奥さんもパン好きである。自転車とパンとコーヒーがあれば他にはなにもいらないとか言っちゃう、かなりのロマンチストでもある。

こういうブログを書きたいのだけれどと、店主とちょうどお店に来てたM氏(パン職人さん)に相談してみた。ハードとかバゲットとかカンパーニュとかポルトドューとかその時はお店の名前なのか、パンの名称なのかよくわからない単語が頭の上を飛び交ってひどく混乱した。これはパンについてすこし勉強する必要性があると痛感したものだから、帰りに県立図書館で2冊パンの本を借りて最低限の知識くらいは頭に入れておくことにした。

数日後、ネットで盛岡の有名どころのパン屋さんをピックアップし、自転車ルートも作成したので、お店に来ていたM氏に確認をおねがいした。私のマル秘ノートをさっと一瞥し、返ってきたのは意外な言葉だった。
「いきなり本番?」
「はい?」
「前もって口慣らしした方がレポートもしやすくなると思うよ」
言われてみればそうである。生まれてこの方グレメレポートなんてしたことない。普段から食べ慣れているラーメンならまだしも、本格派のパンは正直自信がない。本で読んだ知識しかないのだから経験値はほぼ0だ。
「近くにおいしいパン屋があるから行く?」

と急な流れで連れて行ってもらったのが川徳の近くにあるパン屋さん。知人からこのお店の評判は聞いていたが、地理的問題があってルートからは外していた。実際お店の前に立ち、ここから私のパン物語が始まるのだと思うと気持ちが高まってきた。と同時に緊張してきた。外から店内が見える。落ち着いた雰囲気のお洒落なお店である。それが私を緊張させている。ちょっと汚い中華料理屋さんの方が性分にあってる。しかし、事前のリサーチからパン屋は大概オシャレであるらしい、との結果が出ている。ともなれば、ここは私の体を慣らしてくしかないと意を決し、店内に入った。
穀 外観

自家製酵母パン&cafe 穀

穀 店内

店内で印象的だったのは、調味料や生活雑貨の販売である。しかもそれらがパンよりも手前に置かれていたので、ここは何屋さんなのか?と最初はすこし困惑してしまった。しかし、置かれている調味料は女性にはうれしいオーガニック由来のもので、よくもまあここまで見つけてたものだと感心してしまうようなセレクトである。オーガニック女子(というものがあるならば)は一度見ておかれたし。

さて、肝心のパンである。種類が多くて、正直なにを選べばいいのか分からない。M氏も少し迷ってるようだった。店員さんに聞こうとも思ったが、忙しそうだし自分シャイだし、緊張してるしで、あたふたしてたらM氏が慣れた感じでおすすめを聞いてくれた。
恥ずかしい話、会話の内容がまったく思い出せない(オイ)。結局、全粒粉クロワッサンとランチメニューの「数種のパンセット(ドリンク付き)¥950」を頼んで、イートインスペースで食べることに。席に座るとM氏が
「お店で麦をひいてるなんて珍しいでしょ?」
普通のお店は粉にしたものを仕入れるが、このお店は自家製の臼で小麦をひいてるとのことらしい。それに、天然酵母うたってるお店は数あれどここは別格とのこと。そんな話を聞いて、いよいよ期待が膨らんでくる。
店員さん「お待たせしました」

数種のパンセット

まずは香りだった。7種類のパンが放つ幾多の香り。焼きたて補正というのもあるかもしれないが、これは年中鼻炎の私でも分かるほど香ばしい。トッピングは3種類ある。

・ハチミツ
・生アーモンドバター
・豆乳マーガリンor四つ葉バター(どちらか選択)

それでは印象的だったパンを挙げていく。

豆乳クリームパン

生地がしっとりもちもちでたべたことのない食感(私の場合経験値が低いのはご容赦)でとても新鮮。中の豆乳クリームはくせがなくシンプルな味わい。これは何個でもいけると思う。

カンパーニュ

天然酵母のカンパーニュ(田舎風パン)。本で勉強してた時から一番食べたいと思っていたパン。食べてみてこれは凄いと思った。これが天然酵母かと。酸味・苦味・甘味・塩味が絡み合って、複雑なハーモニーをかもしてる。かめばかむほどパンの色んな表情を楽しめる。これは絶対癖になると思った。M氏にも食べてもらったが、しきりに唸っていた。

全粒粉クロワッサン

クロワッサンというとサクサクの生地で、ぱらぱらと食べかすが落ちる甘いパンという認識だが、ここのは違う。しっとりしてて、普通のそれよりも重みが感じられる。甘味のタイミング(?)も違う。一噛み目でかつんと甘味が広がる一般的なクロワッサンを逃げ馬とするとこちらは差し馬。途中までは甘味を控えめにキープしつつ最後にぶわっと差してくるタイプ(例えがひどい)。要するに噛めば噛むほどというやつ。たまにはこういうクロワッサンも悪くない。
※全粒粉:小麦の粒を丸ごと挽いてて身体に良い成分(たんぱく質、ミネラル、ビタミン等)が入ってる。

 

> – – 自家製酵母パン&cafe 穀 – – <

 

お店を出てもまだカンパーニュの余韻が口の中に印象深く残っている。こういう経験ははじめてだ。どうやら、私はパンの魅力にとりつかれたのかもしれない。こんなにお口の中が幸せで包まれたのは久しぶりたっだから。次、ここに来たときはカンパーニュを丸ごと一つ買って帰ろうと思う。カンパーニュが入る大きめのバッグを用意して。


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